養殖岩のり種
『幻紫菜』
誕生ストーリー
養殖岩のり『幻紫菜』誕生ストーリー
みなさんは、普段食べている海苔が、どういう種類か、どこでどういう作業を経て作られたのか、ご存知ですか?せのお水産の海苔には、1枚1枚に、私たちの海への思いと、海苔への探求、試行錯誤の日々が込められています。
国内でも希少な「養殖岩のり」への挑戦
一般的にみなさんの食卓にある海苔は、「スサビノリ」という種の海苔がほとんどですが、せのお水産では、このスサビノリに加え、国内では珍しい「養殖イワノリ種」の生産を行なっています。この養殖イワノリ種は生育時期も養殖の方法もスサビノリとは違います。生育方法も確立されていないため、スサビノリに比べ養殖が難しいとされており、国内でも珍しい希少な海苔となっています。
試験、研究、失敗を重ねて重ねて、かかった年月は10数年。近年、やっと種付けに成功し、みなさまにお届けできることになりました。せのお水産の力を全て注いで作られた自信の一品となっております。
私たちは、10年後も海で海苔を採れるのか?
私たちが、「養殖イワノリ種』の生産に踏み出すきっかけになったのは、近年の瀬戸内海の環境の変化です。海苔などの海藻類は、「海の野菜」と呼ばれています。野菜が土の中の栄養を吸収して成長するように、海苔は海の中の栄養を吸収して成長します。海苔を育てる環境である海は、美味しい海苔を作ることに欠かせない母体のような存在ですが、近年この海に変化が出てきています。
一つは、海苔に必要な栄養素が減少していること。
瀬戸内海は栄養豊富で、美味しい海苔の養殖に適した産地として知られています。かつて笠岡では、海苔漁師が多く軒を連ねていましたが、平成の初め頃、高梁川河口の沖合に人工島が作られ、川の水の流れが変わったことにより、窒素やリンなどの海苔の生育に必要な栄養素が笠岡の海に届きにくくなりました。そのため海苔の色落ちなども起きやすくなり、美味しい海苔を育てることが、以前に比べ難しい環境になってきています。
もう一つは、漁期が短くなっていること。ここ数年は、温暖化の影響で海水温が上がり、かつてのように海苔が育ちにくくなっている大きな原因となっています。以前は2~3カ 月あった漁期も、現在は約1 カ月にまで縮まってしまいました。
「このままだと漁期はもっと短くなる。収穫量も減っていく。5年、10年先のことを常に考えてやならければ。」
そこで、私たちがいち早く目をつけたのは、養殖イワノリ種でした。
毎年異なる自然環境を相手に、経験とチャレンジを繰り返して
養殖イワノリ種は、通常のスサビノリに比べ、高水温でも育つことができます。
一般的にスサビノリは海水温が 23°C以下にならないと種付けができず養殖できません。笠岡の海がその水温に下がるのは 10月下旬以降。温暖化によって、年々、その時期は遅くなってきています。
ところが養殖イワノリ種の場合、25°~ 26°Cの水温 でも種付けができます。せのお水産ではその生育に必要な水温の違いから、生育期間のずれに着目し、異なる種類の海苔を同じ海面の養殖施設において、いわば“二毛作”で育て、海苔の生産量を維持できないかと考えました。
しかし、養殖イワノリ種は、これまでのスサビノリのように養殖種としての生育方法が確立されていないため、全てが手探りの状態でした。
まず、瀬戸内海の環境で育つことのできる種を選別することから始まり、そして種付け。せのお水産は、岡山県内で唯一自社で種付けを行なっていますが、海苔の種付けは、その年の水温、気温など様々な条件が重なることで、やっと種を付けることができます。養殖イワノリ種の種付けはマニュアルがあるわけではなく、付いたと思ったら取れてしまい…毎年異なる自然環境の中で、様々なパターンを研究し、試行錯誤と失敗を繰り返し、種付けに成功するには4年もの歳月を費やしました。
瀬戸内海の豊かな旨味を凝縮した『幻紫菜』
試験養殖を重ね、失敗を続けながらも、根気よく挑戦を繰り返し、ついに近年、養殖に成功しました。
岩海苔の養殖を考え出してから10数年の歳月がかかりました。
国内に作り手がほとんどいない希少な海苔なので、この養殖イワノリ種を『幻紫菜(げんしさい)」と名付けて、みなさまにお届けしております。
瀬戸内海で育った岩海苔は、甘みと噛みごたえがあり、磯の香りと、瀬戸内の豊かな旨味がギュッと詰まっています。そのまま口に入れると、ふわっとした香りとサクサクとした食感の後に、口の中でまろやかに溶けていく食感も楽しめます。いろいろなお料理にふりかけて、旨味をプラスできます。パック入りと、贈答品用にもぴったりの瓶入りもご用意しております。
せのお水産の『幻紫菜』を、ぜひご賞味ください。