美味しさの
こだわりは、
種付けから
美味しさのこだわりは、種付けから
せのお水産のこだわりの1つ、海苔の種について、ご紹介します。
こだわり①選別した独自のブレンド種
みなさん、海苔の種って見たことありますか?
種といっても、海苔の種は農作物の種とは違って、目では見えない胞子です。
この胞子は牡蠣の殻の中についた状態でせのお水産に届きます。
せのお水産の海苔の種は、独自のブレンド種。
去年の良い海苔から採った種をそのまま使うのではなく、研究を重ねて少しづつ改良しながら、瀬戸内海に適した種や食べて美味しい種を毎年選別、ブレンドしています。
海苔の養殖は毎年10月頃から始まりますが、養殖の時期は、いわば1年を通した研究の総決算。この時期を迎えるまで、「今年はこうしてみよう」というチャレンジの気持ちで、1年間、美味しい海苔を作るための準備と研究をしています。
種の選別で大切にしているのは、瀬戸内海の環境に適応できるということはもちろんですが、味の濃い品種を選んでいます。
しかし毎年同じ種を使えばいいというわけではなくて、海の環境は毎年変わるので、その都度、種も改良をしていかなければなりません。単によく伸びて収量が増えればいいわけでもなく、大切なのは海苔と対話をしながら育てていく姿勢だと思っています。
こだわり②自社での種付け
せのお水産では『種付け』を自社で行なっています。
岡山県下約60軒の海苔養殖業者の中で、自社で種付けを行なっているのは、せのお水産のみ。
牡蠣殻の中で育った海苔の種を、牡蠣殻ごと一定の水温になった水槽につけ、海苔網を巻き付けた水車を回転させながら水流を起こし、種を網に付着させていきます。
種付け中に、途中で回転を止めて、網の一部を切り取ります。切り取った短い網を顕微鏡で見て、種が網に何個付いてるか数を確認します。1日にこの作業を何度も繰り返し、十分に種が網についたことが確認されると、いったん網を保管します。種は顕微鏡で見てもとても小さく、また判断を誤ると収穫量にも影響が出るため、神経を使い、経験と判断力が必要な作業です。
特に、養殖岩のり種の場合は、気候や水温によって種の付き具合が大きく変わるため、スサビノリに比べ何倍も種が付きにくく、付着しても落ちることもあります。冷水器で水温の調整をしないせのお水産では、種の付き具合をその都度顕微鏡で見ながら根気のいる作業を行っています。
こだわり③海苔を見守り、会話するように
種が付いた海苔網は養生槽に付けておき、種をしっかり網に定着させます。午後にもう一度、顕微鏡で定着具合を確認し、良い状態のものは箱舟に乗せてその日中に海に張ります。
そこからは、毎日、海に出て海苔の育成を見守る日々。
毎朝6:00頃から網を上げに行きます。
岡山では海面に網を浮かべて養殖する「浮き流し養殖」というやり方が主流です。
たくましく美味しい海苔を育てるためには、張ってる網を水面下から上げて、たびたび風にあて刺激を与え、水を切る作業が必要です。
しかし風に強く当てて乾きすぎるとかえって良くないので、1日の天候を常に注視しながら、海苔の状態を見ながら、作業を行います。この作業を約3週間ほど繰り返します。さらに、一番忙しい時期になると、この網を下ろしたり上げたりする作業に加え、種付けや加工などの作業を同時並行します。
このような作業の積み重ねで、天然ものに近い、色鮮やかで香り豊かな海苔を作ることができます。
『海苔に合わせる』姿勢を大事に
私たちが海苔を育てる上で、大切にしていることは、できるだけ自然に近い環境で育てるということ。そして人間の都合ではなく『海苔に合わせる』姿勢を大切にしています。
種付け作業でも、種を効率よく網に付着させるには、水温などを一定に保つため、冷水器を使えば効率が良いことは間違いありませんが、せのお水産ではあえて人工的な装置を使いません。
海苔も生き物なので、人間と同じように、無理やり起こされるよりも、自然に目が覚めて生活するほうが気持ちがいいのではないかと思うからです。
そのため、種付けには時間がかかります。その日の天候や水温に大きく左右されるので、種が付くまで、待ち続けなければいけないこともあります。
種付けしてからの海苔の育成も同じことが言えると思います。時間はかかりますが、無理矢理、人の都合に合わせるのではなく、むしろ人が海苔に合わせる。海苔に対しても、自然に対しても、常に対話をしながら、こちらが合わせてやっていくという姿勢を、これからも大事にしていきます。
それが、せのお水産の美味しい海苔の秘密です。